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CLSという職業を知っていますか [鎌倉つれづれ文]

TBSラジオで放送している「蓮見孝之 まとめて!土曜日」という番組内の「人権トゥデイ」というコーナーで、「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」という聞き慣れない職業を紹介していたので、その内容について少しご紹介したいと思います。

チャイルドライフスペシャリストという職業は、医療現場で子供の気持ちに寄り添い精神的な負担を和らげることを目的とした医療の専門職です。

病気やケガで入院をした時、大人であれば治療の必要性や治すためにどれだけの時間と辛抱をしなければならないか理解ができますが、子供の場合は、病院は家とは全く違う場所、見たこともない大きな機械や器具、消毒液の匂いなど「日常」とはかけ離れた不安がいっぱいある場所だと感じるはずです。medical_chuusya_towel.png

そこで、子供が病院で感じる不安をなるべく少なくして医療に主体的に参加して乗り越えていってもらえるように、他の医療スタッフと連携しながら支援していく専門職が必要になります。その仕事がチャイルドライフスペシャリスト、略してCLS(以下CLSと表記します)です。

チャイルドライフ協会の会長さんは、「子供達は、すごく緊張したり注射だとか痛い思いをするのではないかという不安をいっぱい抱きながら入院してきます。白衣を着た看護師や医師に対しても、どうしても身構てしまいます。そこで私達は、会話や遊びを介して信頼関係を作りながら、そういう緊張している子供の気持ちを和らげたり、サポートに回る役割りをしていくことが大切な仕事になります。」と話します。

アメリカの小児科学会では、小児医療で入院している子供15人に対して1人の割合で、CLSを配置することが望ましいとされているそうです。

CLSは、1950年代より北米で発展した専門職です。
CLSの介入によって、入院期間の短縮や鎮痛剤の使用量抑制などの効果も実証されており、小児医療には欠かせない職業と存在づけられているのです。

一方、日本国内では、現在45人弱のCLSが働いています。
小児癌の拠点病院、首都圏の子供病院、そして大学付属病院など規模の大きい病院に、1人または2~3人が配置されている状況です。

実際に小児病棟に勤務しているCLSの一人は、「私は、大学3年生の時サークルのボランティア活動を通じてチャイルドライフスペシャリストという専門職の存在を知りました。大学院では法律の勉強をしていましたがこの仕事に魅かれて一から勉強して現在の仕事に就くことができました。」と現在の仕事に就いたきっかけについて話してくれました。

彼女は朝一番に、入院しているすべての子供達の部屋を回って、医療場面での支援だけでなく、日常の遊びにも付き合うそうです。孤立しがちな子供の気持ちに寄り添うには、普段からのコミュニケーションが大切だと思っているからだそうです。
また、親御さんをはじめ、患者家族側の気持ちを医療スタッフ側に伝えるということも、この仕事の重要な役割りのひとつと言われています。
検査・手術を受ける子供に対して、手順を説明することも多いそうです。
その場合、言葉での説明で伝わる年齢の子もいれば、人形と実際の医療資材を使って説明していく場合など、その子供の状況に応じて、少しでも不安がなくなるよう工夫を加えながら行っています。illust2806_thumb.gif

現在この仕事で活躍している人が、どのような動機でCLSを目指すようになったのかというと、看護師として小児医療に関わっていた人が小児ケアに特化した仕事がしたいということでCLSを目指したり、または、心理学や児童教育を学んだ人が目指すケースなど、それぞれの現場や学問を通じてCLSの存在を知り目指すきっかけになったケースが多いようです。
最近では、最初からCLSに就くことを目指して協会に問い合わせてくる学生、なかには高校生もいるそうです。

CLSになるためには大きく3つの条件があります。
まず、四年生大学を卒業していること、そして資格認定団体であるACLPが認めるアメリカの大学院で必要な科目を履修すること、そしてCLSの指導の元、一定期間のインターンを受け、その後CLSの資格認定試験に合格することによってCLSの認定資格を得ることができます。

この制度の課題としては、現在、日本の小児医療現場では、CLSという職業があることが知られていても雇用にはなかなか繋がらない状況があるということです。
CLSが介入していることは、診療報酬の加算にはつながっていかないのが1つの原因で、もう1つは、日本の大学での養成がまだまだ難しい状況にあることです。

現在はアメリカの大学院へ留学するしか資格を取る道がありません。日本の大学院で養成コースを設置して、有資格者を増やしていかれれば、多くの病院に有資格者が配置され、それに伴い働く環境も整備されていくのではないかということです。
まずは小児医療現場でCLSの役割が認知されるよう医療者からの意見も必要だと言います。
今後のチャイルドライフスペシャリストの動向に注目していきたいです。
というまとめの言葉と共にラジオ番組は終了しました。

私はこの番組を聞いて、ある感想を持ちました。
この番組では、大人の入院患者は治療の内容は全て理解していることが前提となっていました。

しかし、過去何回も入院した私の体験から言うと、自分の治療がどうなっているのか正確に把握しているとはとても言えない状況が何度かありました。
自分の治療に対して疑問や不安を抱いて困っている患者さんはかなり多いと思います。
看護師に尋ねても「大丈夫ですよ、先生に聞いてみます」と言ってくれるのですが、実際はそれっきりの場合が多かったように感じます。
それならば小児医療の子供を対象としているCLSのケアの対象範囲をを大人から高齢者まで広げたらどうでしょう。

医療費が増大し続けている現在、当然そうなれば財政の課題も出てくるでしょうし、また医療関係者の負担も増えるでしょうから、賛否両論の意見は出るでしょう。
そういうこと全てを含めて、私は、日本におけるチャイルドライフスペシャリストの意義をじっくりと考えてみてはと思いましたが皆さんはどう思われますか。

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