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ホーム転落をなくす会の活動 [鎌倉つれづれ文]

TBSラジオで、視覚障碍者が駅のホームから転落する事故を防ぐ「ホーム転落をなくす会」の活動の放送を興味深く聞きました。
最近、視覚障碍者の方が駅のホームから転落する痛ましい事故が相次いでいます。
去年8月には東京メトロの銀座線、10月には近鉄の大阪線、そして今年1月にはJR京浜東北線蕨駅、と一年間に3件視覚障碍者の方がホームから転落して亡くなる事故が連続して発生しました。
この3件を含めて、1年間に約80件もの転落事故が起きたと言われています。
「ホーム転落をなくす会」の活動とは別に、視覚障碍者の視点で「ホームからの転落を防ぐには、ハード面とソフト面の4段階が必要です。」と言っているのは、筑波大学付属視覚特別支援学校で教諭をしている宇野和博(ウノカズヒロ)氏です。宇野氏は、「ハード面からは、ホームドアがあれば落ちようがないので100点満点の対策と思うのですが、ただ現状としてホームドアがどの程度普及しているかと言うと、昨年3月の段階で、655駅です。全国の駅の数は、9500あり、655駅は全体の7%にあたり、1万人以上が利用する駅は、2100駅もあり、そこと比べても3割くらいしかまだホームドアは整備されていないのです。そこで必要になるのが、点字ブロックの敷き方です。国土交通省も、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを控えて、整備を急がせてはいるのですが、コストの問題とか乗り入れる車両ドアの位置などの問題があ、り簡単には進んではいないのが現状です。」と言います。ホーム.jpgもう一つの対策として、点字ブロックの敷き方の問題があります。
宇野氏は、「各鉄道の多くのホームには、視覚障碍者の歩行用の点字ブロックが設けられています。その基本的な仕組みは、歩く方向を示す誘導ブロックがホームの中央に向かって敷かれています。そこから線路と平行に敷かれたブロックと接続するのですが、これを警告ブロックと言います。このブロックは、ホームの端が近くて危険だということを示しており、視覚障碍者の方は、この警告ブロックまで行って電車を待つのです。
しかし問題なのは、視覚障碍者が誘導ブロックに沿って歩いている時に、柱が邪魔になったり、他の利用客が立っていたりして、それを避けようとしてホームから転落する事故がけっこう多いのです。そこで、本来あるブロックの位置からもっと安全な転落しない位置に、誘導ブロックを設置し直す必要があると思うのです。」と指摘しています。
これらホームドアと点字ブロックの敷き方の2つが、ハード面で求められる対策なのです。
一方、ソフト面の対策について宇野氏は、「ホームドアがつけられないのであれば、充分に駅員を配置して、利用客が多い駅については、駅の係員がしっかりホームの安全を見守り駅員さんに安全を見守ってもらうこと。そして周囲の人達にも声かけをしてもらうことによって事故を防げるのではないかと思います。」と提案しています。
それ以外に、第4のセーフティーネットとして、鉄道の利用客の注意を喚起して関心を深めようと活動している団体「ホーム転落をなくす会」があります。
ここで事務局をしているのが、フリーアナンンサーの高山久美子(タカヤマクミコ)氏です。
この会では、「あなたの一声が目の見えない人の命を救います。」と言うチラシをたくさん作って、ひとりでも多くの人に手渡し、どのように声をかけたらよいのかを知ってもらいたい、という活動をしているそうです。
まずこのチラシで言いたいことは、「命の危ない人がいたら、どうやってそれを救うか」ということだと高山氏は強調します。
このチラシが一番効果を上げるには、直接駅でチラシを配ることでしょう。
しかし、駅でチラシを配るためには許可が必要になりますし、駅自体も膨大な数があり、なによりチラシを作るには、お金がかかります。
そこで、「ホーム転落をなくす会では、クラウドファンディングを活用したそうです。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの方々から、事業や活動資金を短期間に調達できることが利点となっています。
高山氏は、「クラウドファンディングによって、44人の方から、24万円程の寄付金が集まりました。この寄付金で、たくさんのチラシを作り、イラストレーターにも払うお金ができましたので、数多く印刷してチラシを配りたいと思っています。」と話します。
また、クラウドファンディングの返礼として、希望者にこのチラシを送りました。
これらのチラシを受け取った人々の中で、例えば趣味でバンドをやっている方はライブハウスで自分が出演する時にチラシを配ったり、高校などの学校で講演会をやっている人は全校生徒に配ったりと、駅で配る機会の無かった人達に配る機会が生まれたのです。
今回のクラウドファンディングでは、チラシの製作費を捻出することも大切な目的でしたが、いろいろな局面でチラシを配り、注意喚起が行えたことは、とても貴重な訴えができたと言います。
「ホーム転落を無くす会」では、今後もこうした活動を継続していくことを検討しているそうです。
最近、国土交通省の指導により、公的な施設は速やかにバリアフリー化に努めること、
駅からのホーム転落事故を防ぐため、駅員は視覚障碍者やホーム上で危険な行動と思われる者に関して良く見守り声かけをすること。以上のことを主要な駅や観光地の駅で、積極的に取り組むように通達を出したそうです。
しかし私は、費用とハード面で限界がある中では、駅員ばかりを頼ることは完全ではないと思います。
そのかわりに、周囲の人達が盲導犬を連れて歩いている人や、白い杖を持って歩いている視覚障碍者の人達、そして聴覚障碍者、その他、電車に乗ることに不自由を感じている全ての困っている人達に、あたたかい目を持って見守って欲しいし、危ない時には是非、声をかけたり、手を差し伸べて欲しいと思います。
いくら駅をバリアフリーに改良して利便性を追求しても、最終的には人間の「助け合いの心」に頼らざるを得ないのではないでしょうか。
私は、鉄道会社の人は当然として、利用客も困っている人や危ない人がいれば無関心を装うのではなく、ひとこえ声をかけるのが大事だと思うのです。
excursion_m06.png
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